ZIPANG-8 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その61)福島の姥神たち・福島市・・・ 【寄稿文】 廣谷知行

令和6年1月1日午後4時10分頃発生した、
能登半島地震で被害を受けた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。


福島県福島市

福島県の福島市は、同県の県庁所在地であり、飯坂、高湯、土湯温泉など観光温泉地が多数あります。また、収穫量が全国2位となる桃を中心に果物が名産品として有名です。今回はその福島市内にある姥神をご紹介したいと思います。


・信夫山


 市内中心部にある信夫山 


同市街地の中心に信夫山があります。市街地内にあるため、国道13号線や新幹線のトンネルが同山に通されています。同山は熊野、羽黒、羽山からなり、月山、湯殿山、羽黒のほか、古峯、稲荷など多数の神社があり、古くから信仰の山として親しまれています。


また、現在は公園として整備されており、遊歩道の散策や展望デッキからの眺めを楽しめるほか、春には桜のライトアップや桜まつり、冬には大わらじを奉納する信夫三山暁まいりなどの行事も催されています。


なお、同山東側の中腹には市の指定文化財になっている摩崖仏群の岩屋観音もあり、史跡の観光場所にもなっています。


信夫山の姥神像


湯殿山神社の前にある出羽三山碑


その湯殿山神社の社の手前に姥神像が置かれています。また、社のそばには出羽三山講による碑もあり、この地域での信仰の厚さがうかがえます。おそらく湯殿山の姥神像を模して、この信夫山にも神社の手前に同じように配置したことが想像に難くありません。神社の手前にありますので、湯殿山と同じように境界-姥神型として祀られていると考えられます。


・姥神神社


姥神神社


姥神神社の姥神像


 姥神神社の姥神像

 

同市の姥堂地区に、姥神神社があり、姥神像が祀られています。中心の像の隣には、経年により朽ちたためか小さくなった姥神像もあるようです。この地域の名前が「姥堂」なのもこの神社があるためだったと思われます。また、「姥神」神社と呼ばれていること、姥神像が祀られていることから、全国にある姥神社とは違ったものであると考えられます。


この場所はここから山手にある高湯温泉への通り道だった場所であり、高湯温泉の先は東吾妻山を経由し、その5で紹介した吾妻山神社に続いています。この場所では単独で祀られていますので、本尊-姥神型として祀られていると考えられますが、もともとは高湯温泉、もしくは吾妻山神社への境界の意味もあったのかもしれません。


・優婆神社


優婆神社


同市三本木に優婆神社があります。「うば」神社と読み、全国に点在する姥神社と同じかと思われますが、「優婆」の字が当てられているのが、その51で紹介しました猪苗代町の関脇優婆夷堂の影響を受けているのかもしれず、この地域ならではと言えます。


続く・・・


寄稿文

廣谷知行(ひろたに ともゆき)

姥神信仰研究家


※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。

発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)



アーカイブ リンク記事をご覧ください。


蟻地獄のように落ちたら這い上がれそうになさそうな迫力のある吾妻小富士のクレーター


◆吾妻山の中心

福島県には日本100名山のひとつ吾妻山がありますが、この山は西吾妻山と東吾妻山の2つが登山コースも綺麗に整備されており人気です。東吾妻山の東側、浄土平の方にある吾妻小富士のクレーターはすり鉢状の綺麗な逆円錐型で、周囲を歩くことができ、なかなか見ごたえがあります。このあたりは活火山のため、硫黄ガスが立ちこめ、平成31年3月18日現在、噴火警戒レベルは2となっています。


さらにこの二つの山の間、猪苗代町に中吾妻山があるのですが、こちらは山深くにあり、展望もあまり望めないため、あまりメジャーではありません。しかしながらここに吾妻山の信仰の中心と考えられる吾妻山神社があります。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~全国の姥神像行脚(その5)~「福島県 吾妻山の信仰の中心『吾妻山神社の姥神像』 とは・・・  【寄稿文】 廣谷知行」
https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/5977605



関脇優婆夷堂


飯豊山からだいぶ離れますが、猪苗代町の関脇に優婆夷堂があり、おんば様と呼ばれる姥神像が祀られています。この像が飯豊山の姥神像の末の妹とされています。


しかし、この姥神のいわれを見ると、昔、この地の城主が、子どもができないので神社に祈願し懐妊した。しかし、陣痛が来てから七日七晩たっても生まれずにいたところ、突然現れた老婆が呪文を唱えて腹をさすると無事に生まれたので、その老婆を祀るようになった。

と、3姉妹とは関係ない伝承となっています。


その像は非公開であり、ここでは地域の方が管理しています。秘仏であること、安産などに霊験があり、そのために月に何回か日を決めてご祈祷をしていることなど、その信仰形態は13、14で紹介した出湯温泉と似ています。ですので、この関脇の信仰も出湯温泉と同じく本尊-姥神型と言えます。

参考図書

石田明夫著「歴春ブックレット おんば様」 1999年 歴史春秋出版株式会社


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG-7 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その51)福島の姥神たち 飯豊山の姥神姉妹【寄稿文】廣谷知行
https://tokyo2020-7.themedia.jp/posts/42323589/



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ZIPANG-8 TOKIO 2020

日本の精神文化と国土の美しさについて再発見その1. 全世界との情報の共有化その2. 偏り、格差のないローカリティの尊重!その3. 美しきものへの学び、尊敬、関心を高める教育と推進

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