ZIPANG-8 TOKIO 2020戦争や震災を逃れた歴史的建造物が全国各地で存亡の危機 新富町で築100年の井筒屋を再生

令和6年1月1日午後4時10分頃発生した、
能登半島地震で被害を受けた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。(編集局)


建築設計を行う株式会社 ザ デザイン ラボ(本社:東京都中央区、代表取締役:板坂 諭)が、
大正時代から残る歴史的建造物「井筒屋」をリノベーション。オープニング記念イベントを開催します。


          新しく誂(あつら)えた家具も鉄媒染で仕上げ


             大正レトロ建築「井筒屋」の外観


              技術継承者不在の「亀甲張り銅板」                                            

           


【ここ10年で100年前のレトロ建築の取り壊しが急増】

文化財未指定の歴史的建造物が壊されています。戦争や地震等の災害をくぐり抜けて残ってきた、100年ほど前のレトロ建物が街からどんどん姿を消しているのです。


文化庁のデータによると、全国で歴史的価値があると国が認めた登録有形文化財でさえも、解体などによって2015年以降急激に多くの建物登録が抹消されています(*)。大きな背景として人口の集中する場所が変わり、過去の中心地にあった歴史的建造物が危機に瀕していることがあります。


修復して活用するにもそれなりの知恵とお金が必要になります。文化財未指定の建造物は、所有者や管理者が全額自己負担するケースがほとんど。資金不足や倒壊の恐れから維持管理が難しくなって取り壊されるケースは後をたちません。


【元和菓子屋の看板建築を未来へつなぐリノベーション】

東京都中央区新富町にある大正レトロ建築「井筒屋」が、世界の一流メゾンとも契約する日本人建築家、板坂 諭の手によってリノベーション。一般の方もご覧いただけるようオープニングイベントを開催します。


               ギャンブレル屋根の内観


かつては甘味処だった井筒屋は、ヨーロッパから18世紀にアメリカに伝承された「ギャンブレル屋根」が特徴的な銅板貼り木造建築の店舗兼住宅です。2階外壁に見られる「亀甲貼り銅板」は技術継承者不在の貴重な建築意匠です。


江戸時代から続く外国人居留地区だったこのエリアには、海外の要人の住宅があったこともあり奇跡的に東京大空襲を逃れました。


              スマホで照明や空調を操作可能


リノベーションでは、味わい深い外観はそのままに耐震工事を施した上で全館をIoT化。
スマホで鍵や照明・空調をコントロールできます。


            全国の古民家から集めた建具や照明


            既存の桐箪笥を鉄媒染で黒くモダンに


              琉球石灰岩のバーカウンター


                伊達冠石の踏み石


                伊達冠石の洗面


部屋の内装には全国の古民家から、当時使われていた建具やガラスや照明を用いています。例えば桐箪笥や新しく誂えた家具は、昔から使われている鉄焙染で黒くモダンに。土壁や絹を張った床の間、琉球石灰岩のバーカウンター、伊達冠石の踏み石など、とても魅力的な空間に仕上がっています。


           写真右のジャンヌレの棚上に「井筒屋の桶」


見学者からは「歴史ある建物に現代的な表現が調和している、未来に繋がる素晴らしい空間」「街の景色がそこだけタイムスリップしたよう」との声を頂いています。


【都会の空き家問題を可能性に、ギャラリーとして限定公開】

「井筒屋」に暮らし建物を守ってきた90代の家主の女性は、3年前に近くのタワーマンションに引っ越されました。都心にあるため賃料も高く空き家になっていたある日、とうとう落書きされてしまいます。


その様子を近くに建築設計事務所を構える板坂氏は危機感をもって見ていました。
「このままでは壊されてしまう」と、自ら借り受けリノベーションすることを決意しました。


             ビルに挟まれて建つ街の風景(昼)


             ビルに挟まれて建つ街の風景(夜)


                  夜の外観


板坂 諭より「都会の小さな土地に100年建ってきた和洋折衷の銅板貼り店舗兼住宅が、
『新富町スタイル』として100年後の未来に残っていってほしい。そのためには使いたくなる魅力的な空間であること、現代のニーズに合っている設備が整っていることが重要だと考えできる限りのことをしました。

銀座から徒歩圏内のこの場所でしか起こり得ない化学反応が起こることを願っています。」


                 1階展示風景


                  2階展示風景


《オープニングイベント詳細》

●Pierre Jeanneret(ピエール・ジャンヌレ)展

ピエール・ジャンヌレは1896年生まれのスイスの建築家。建築界の巨匠ル・コルビュジエの従兄弟であり、ル・コルビュジエと事務所を設立し協働した重要なパートナーとして知られています。家具のデザインも手がけ、今回はその作品を展示します。


●日時、場所

現在開催中、2024年2月9日(金)13:00~19:00まで(土・日・月は休館)※事前予約制

2024年2月10日(土)13:00~18:00は特別開放日、
予約なしでご覧いただけます

入場料無料

東京都中央区新富2-4-8(東京メトロ有楽町線「新富町」駅3番出口すぐ)


●予約はホームページより

https://www.thedesignlabo.co.jp/izutsuya


【会社概要】

会社名  : 株式会社 ザ デザイン ラボ

代表取締役: 板坂 諭

本社   : 〒104-0043 東京都中央区湊2-6-4 RKビル6F

事業内容 : 建築設計/監理、インテリアデザイン、プロダクトデザイン、

       デザインコンサルティング



鎹八咫烏 記
石川県 いしかわ観光特使
伊勢「斎宮」明和町観光大使


協力(敬称略)

紅山子(こうざんし)


※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。



アーカイブ リンク記事ご覧ください。


丸ビル・新丸ビル


歴史的建造物が立ち並ぶ丸の内エリア

丸の内一帯エリアは日本の発展の歴史と革新的な未来が共存しています。現在の皇居に江戶城があった約400 年前、 丸の内という名は、江戶城内にあることが由来しており、当時は、大名屋敷が密集していたことから大名小路とも呼ばれていました。


明治維新以降、陸軍の軍用地として使われた後、この地が大きく変貌を遂げたのは、1894 年(明治 27 年)に 日本初の近代的オフィスビル「三菱一号館」の建設でした。


その後も八重洲町通り(現在の馬場先通り)には、ロンドンビルに似たレンガ造りの建物が次々と作られたことから「一丁倫敦(ロンドン)」と呼ばれるようになります。さらに 1914 年に「東京駅」が開業されると、駅周辺がオフィス街として発展していき、丸の内の中心は「一丁倫敦」から、行幸通りへと北上。


1923 年、英国式煉瓦造りに比べ、効率のよいフロア活用と後期短縮が可能なアメリカ式で建築された丸ビルは、初めてオフィスビルの商業施設であり、昭和における戦前期での国内最大のビルとして誕生しました。


丸ビル完成後のアメリカ式のビルが並んだ行幸通り一帯は「一丁紐育(ニューヨーク)」とも呼ばれ、次々に実業家たちがオフィスを構えると、丸の内は一気に日本の経済の中心地へと発展していきました。


現在、東京の中心地として丸の内一帯は、歴史的な建物から最新のファッションビルまで多彩な建物が見られるエリアとなっています。


中でも日本の近代化の象徴ともなっている「三菱一号館」は、当時、丸の内周辺に設置されていたガス灯とともに 100 年以上の時を経て復元され、明治時代当時の景観が再現されています。


仲通り


街を南北に貫く「仲通り」沿い

2002 年に完成した新しい丸ビルの数年前からの完成とともに丸の内の改築計画がスタートしました。


それまで丸の内はビジネスマンが行き交う街であり、特に丸の内のメインストリートである「丸の内仲通り」は、ビルの 1 階に入居していた金融機関や証券会社の店舗の窓口が閉まる午後 3 時を過ぎるとシャッターが閉められるため閑散としてしまい、休日ともなるとほとんど人通りのない静かな街でした。


丸の内を「ビジネス特化型」から「来ることが楽しくなり、さまざまな交流ができる多様性を持ったまちづくり」に転換すべく、メインストリートの「丸の内仲通り」を中心に再整備され、色々な取り組みが行われてきました。


今や当たり前に道路上で人々がくつろぐ光景も 2015 年から 2 年間のモデル事業を経て、2017 年 4 月から本稼働したものです。


日中(平日 11 時〜15 時、土日祝 11 時〜17 時)、丸の内仲通を交通規制により歩行者に開放し、オープンカフェを展開したり、イスやテーブル、パラソルを設置し、キッチンカーの営業をすることで、日常的にワーカーや来街者の憩いの場、また様々なイベントを開催する場として親しまれています。


2019 年 5 月には初めて連続 5 日間に渡る交通封鎖を実施し Marunouchi Street Park を開催、以降も季節ごとの通りの魅力を活かした道路空間を創出し続け、国内外の多くの人々に慕われる通りとなっています。


行幸通り イメージパース


初の展開となる行幸通りでは、環境配慮型の樹脂製スケートリンクを使用
「Marunouchi StreetRink」が登場。東京駅前という象徴的な場所で非日常を体験することができます。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG-6 TOKIO 2020 日本の近代化を象徴する歴史的建造物や日本や東京を象徴するエリアが演出する冬の情景
https://tokyo2020-6.themedia.jp/posts/39341104



横浜で創業100年!登録有形文化財の料亭をゲストハウスに!」


クラウドファンディングの活用例

創業100年の歴史を誇る料亭の「金沢園」は、当初庭園を望む割烹旅館として人気を博し、潮干狩りや海水浴、貸しボート、釣堀、遊覧船といった海の楽しみや、四季折々の花を鑑賞できる遊園地、大弓場など周辺の施設を含めて、横浜金沢のレジャー施設へと発展しました。観光拠点として名を馳せた「金沢園」には各界の著名人も訪れ、中でも歌人・与謝野晶子は夫である与謝野鉄幹と度々この「金沢園」を訪れており、歌にするほど気に入っていました。


古くから住まう地域の人々と外部の様々な専門知識を持った事業者とが一体となって地域再生に取り組み、そうした中で、観光による交流人口の拡大を通じて、耕作放棄地が解消されるなど限界集落が一変する姿、地域の空き家や商店街の空き店舗が改修・活用されて、本来のまちなみを取り戻した姿、さらには、新たな雇用が生まれ、UIターンの若者が増加したり出生率が大幅に向上するなど、まちやむらに人が戻り活気がよみがえってきたという姿の中に、今後の観光・地域振興の鍵がある。


政府では、以上のような課題認識から、2016年9月に「歴史的資源を活用した観光まちづくりタスクフォース」を立ち上げ、古民家等の歴史的資源を各地域で観光資源として再生・活用する民間有識者の方々からヒアリングを行い、それらを踏まえて中間とりまとめを行いました。


その中間とりまとめを踏まえ、意欲ある地域の相談を受け付ける連携推進室を設置するとともに、相談への対応と解決策を協議する専門家会議を開催しました。


連携推進室では、①まちづくり組織の組成、②まちづくり計画の策定、③物件活用に向けた所有者との調整・交渉、④物件活用事業者の募集とマッチング、⑤物件の改修、⑥事業の運営について等様々な地域の取組について相談を受け付ける。


相談に対しては、連携推進室と専門家会議が官民一体となって支援し、オーダーメイドで対応することにより、地域の特色を活かしつつ取組を実現化し、地域を再生・活性化することを目指している。


取組事例


その土地の文化や歴史を実感できる複合宿泊施設として再生


篠山(兵庫県)

篠山藩の城下町として栄えてきた篠山町も少子高齢化の影響で過疎化が進行していましたが、篠山城の城下町全体を「ひとつのホテル」と見立て、築100年超の古民家を含む4棟を宿泊施設、飲食店等として改装した結果、その土地の文化や歴史を実感できる複合宿泊施設として再生致しました。


「日本の暮らし」を体験する滞在施設として再生


丸山(兵庫県)

限界集落と言われた小さな集落であった「集落丸山」は、緑の柔らかい景色の中に築150年以上の古民家が点在する古き良き日本の原風景を残しておりました。この美しい村の古民家と自然環境を活用し、有志からの出資や補助金をもとに3棟の古民家を改修し、「日本の暮らし」を体験する滞在施設として再生致しました。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG TOKIO 2020「観光庁~古民家再生し、まちの宝に変える~『歴史的資源を活用した観光まちづくりセミナー』全国9ヵ所で開催」
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/posts/2995861



旧白洲邸 武相荘


武相荘 レトロな雰囲気のインテリア


東京都町田市では、白洲次郎・正子の旧宅である、東京都町田市指定史跡「旧白洲邸 武相荘」を運営する株式会社こうげいと、2023年3月9日(木)に観光連携協定を締結し、同市を代表する観光地として更なる地域の活性化及びシティセールスの向上を図ることを発表。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG-7 TOKIO 2020「旧白洲邸 武相荘」のレガシーを次世代に継承していく!
https://tokyo2020-7.themedia.jp/posts/42525348/



いつの頃からか…天城峠に差し掛かると…
天城山隧道を吹き抜ける風が鼓の音を運んでくるような気がいたします・・・


天城山隧道(旧天城トンネル)


旧井上靖邸

天城峠周辺の緑豊かな1,600haの森に作られた大自然公園「昭和の森」に移築された


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG-6 TOKIO 2020 伊豆 天城越え~文学の道を行く~(その1)
https://tokyo2020-6.themedia.jp/posts/27310393



滑沢渓谷 井上靖の処女小説「猟銃」の舞台となった渓谷


清流が一枚岩を洗う自然美あふれる渓谷 井上靖の処女小説「猟銃」の舞台となったところで、湯ヶ島温泉から天城峠方面へ約6kmの山間にあります。四季折々に美しい風情が楽しめ、特に紅葉シーズンはすばらしい。また、渓谷沿いには遊歩道があり、途中には井上靖の文学碑が立っています。


歴史的な面影残し、現存する漆喰や崩れた土壁を再利用 !


伊豆湯ヶ島 井上靖邸


伊豆市の委託を受けて改修計画を進めた工学院大学(学長:伊藤 慎一郎、所在地:東京都新宿区/八王子市)西森研究室は、漆喰・土壁研究で実績のある田村研究室(同大学)に協力を依頼。


田村研究室は現存する漆喰仕上壁の保存作業を、西森研究室は建物内の一室である談話室の整備を担当し、この度、改修が完了しました。


「上の家」改修概要

場所:静岡県伊豆市湯ケ島189

期間:2021年8月15日 ~ 2021年12月21日

施工:工学院大学建築学部 西森研究室(建築デザイン学科)、田村研究室(建築学科)


「上の家」改修に携わった工学院大学西森研究室


学生コメント

談話室改修担当 向井菜萌さん(建築学専攻1年、西森研究室)

修士1年生と学部3年生の計10名で、模型や図面作成をしながら内装改修提案を行いました。

建築設計が好きな学生からDIYを趣味にする学生まで多様なメンバーで何度も話し合いを重ね、上の家の魅力を継承し増幅させるよう設計しました。

壁の漆喰仕上げや床のタイル貼り、家具作成など現地での作業中は、近隣住民の方が気さくに話しかけてくださいました。これから使う方と直接交流できたことや、自分たちの考えが実際に形となったこと、文化財級の建物改修に携われたことは、設計授業の枠を超えた貴重な経験となりました。


漆喰土壁改修担当 梅田栞合さん(建築学科3年、田村研究室)

補修技術開発者である田村教授、丸山紘明氏(株式会社 樹)、岡健太郎氏(工学院大学非常勤講師)と共に改修に携わりました。

最初の施工では、ひび割れが入らないよう特に慎重に黙々と心を込めて作業しました。

壁に土を詰める作業が難しく、加えて、練込み中の発酵の匂いは今までに経験がないもので、貴重な体験ができました。

自然素材を効果的に用いて機能性を回復させるだけでなく、140年前の当時使われた粘土を再利用するなど、歴史的な価値を保存する大切さについても学びました。 


(詳細は下記のURLよりご覧ください。) 


ZIPANG-6 TOKIO 2020 伊豆 天城越え~文学の道を行く~(その2) 文豪 井上靖 ゆかりの 湯ヶ島「上の家」、保存改修工事完了!
https://tokyo2020-6.themedia.jp/posts/27725577 



※現在、2200件余の記事掲載、下記のサイトからご覧ください。


ZIPANG-7 TOKIO 2020 (VOL-7)
https://tokyo2020-7.themedia.jp/


ZIPANG-6 TOKIO 2020 (VOL-6)
https://tokyo2020-6.themedia.jp/


ZIPANG-5 TOKIO 2020 (VOL-5)
https://tokyo2020-5.themedia.jp/


ZIPANG-4 TOKIO 2020 (VOL-4)
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ZIPANG-3 TOKIO 2020 (VOL-3)
https://tokyo2020-3.themedia.jp/


ZIPANG-2 TOKIO 2020(VOL-2)
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ZIPANG TOKIO 2020 (VOL-1)
https://tokyo2020-summer.themedia.jp/


新サイトの記事をご覧いただけます。

ZIPANG-8 TOKIO 2020 (VOL-8)
https://tokyo2020-8.themedia.jp/


ZIPANG-8 TOKIO 2020

日本の精神文化と国土の美しさについて再発見その1. 全世界との情報の共有化その2. 偏り、格差のないローカリティの尊重!その3. 美しきものへの学び、尊敬、関心を高める教育と推進

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