ZIPANG-8 TOKIO 2020世界遺産 石見銀山【石州瓦物語】~リバイバル"Revival"~(Ⅳ)


令和6年1月1日午後4時10分頃発生した、能登半島地震で被害を受けた
皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。(編集局)


現代、日本海側は『裏日本』とか『鄙(ひな)の国』などと言われていますが、遠い昔、弥生時代(紀元前4~500年から紀元後300年くらい)は
日本海側が『表日本』であり、日本海を通じて様々な交流が行われていました。


石州赤瓦

創造・再生・継承のまちづくり


石州「石橋の向こうには赤瓦の町並みが広がっています。」


三江線から眺める中国地方随一の大河「江の川」(江津本町~川戸)


島根県のほぼ中央部に位置する人口約2万6000人のまち江津市は、市の中央を中国地方随一の大河である「江の川」が南北に悠々と流れ、この河口を中心として市街地が広がります。


南北朝時代より山陰と山陽を結ぶ江の川舟運の要衝として栄え、大正9年の国鉄開通後 は製糸・化学工場の立地が進み、戦後はパルプ工場の立地などにより「工都」として発展しました。


また、都野津層と呼ばれる良質な粘土や高温焼成に適した松材が豊富であったことなどを背景に、近世後期より「はんどう」と呼ばれる水瓶の製造が盛んとなりました。この技術を活かして製造、流通したのが石州瓦であり、これらの生産が本市および周辺地域の重要な地場産業となっています。


伝統の継承。江津市川平町南川上地区~川平町花田植え~


「貴重な農村文化を後世につなげたい」との思いで平成4年からつづく花田植えです。
平成2年に結成した川平田植え囃子保存会による笛や歌にあわせ、高校生やJA職員が色鮮やかな早乙女姿で、田植えをおこないます。今年も5月に行われる伝統行事です。早乙女行列後方に農家の石州赤瓦家並が遠望できます。


江津本町甍街道に置かれた「はんどう」と呼ばれる水瓶


伝統の登り窯で石見焼の心を焼き続ける「石州嶋田窯」



日本三大瓦産地

石州瓦 粘土瓦が日本に伝来したのは約1400年前、仏教の伝来と時を同じくして百済より伝えられたと云われます。この時代の瓦は限定された利用、日本の気候風土に適さない等の理由により広く普及する事はありませんでしたが、桃山時代頃から技術的な工夫により品質改善がなされ、城郭建築におけるデザインと防火の観点から必要不可欠なものとなりました。


本格的に石州瓦が製造されたのは、浜田城築城の際に大阪より瓦師を招き、現在の浜田市に瓦工場を設けたことによるものとされています。現在、本市を主生産地とする「石州瓦」は「赤瓦」を代名詞としており、「三州瓦」「淡路瓦」と共に日本三大瓦産地の一つとなっています。他の瓦より高温で焼成される石州瓦は、凍てに強く割れにくく、江戸時代後期から明治にかけ北前船により日本海沿岸各地に運ばれました。明治・大正期には販路が飛躍的に拡大され、中国地方の山間各地など様々な地域において赤瓦の街並み景観を形成しました。


波子(海浜公園入口から)海岸に沿って石州赤瓦の家並みが続く。


石州赤瓦の町並みを走る三江線


今なお石州赤瓦の伝統的な街なみ景観がまとまりとして多数存在していることが、本市の景観上の大きな特徴となっています。


以下では、この街なみ景観を活かし、継承していくための江津市の取り組みについて紹介いたします。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG-2 TOKIO 2020~ 石州瓦物語(その10)~

「~赤瓦の映える景観~ 地域の潜在的資源を活かした創造・再生・継承のまちづくり【寄稿文 山本雅夫】」

https://tokyo2020-2.themedia.jp/posts/5512463



石州瓦「blue Grand Toit」の色とは


石州瓦で覆われた複合文化施設「グラントワ」の外壁


石州瓦をふんだんに使用してデザインしたグラントワ中庭広場


グラントワ回廊からの眺め


石州瓦のふるさと石見の最も西側に位置する益田市。
その益田市には、座席数1500席の大ホール、400席の小ホール、美術館などで構成された複合文化施設「グラントワ」があります。


「グラントワ」は島根県芸術文化センターの愛称で「大きな屋根」の意味。その屋根や壁は28万枚の石州瓦で覆われ、中庭では水盤の周りに12万枚のタイル状の敷き瓦を貼っています。


姫路城天守閣で使われた瓦が約7万6千枚、東大寺大仏殿の屋根の瓦が約11万枚ですから、グラントワで使われた瓦の枚数がいかに多いかが分かるでしょう。グラントワは山陰でも最大級の文化施設ですが、まさに個性的で、瓦で全体を覆った建物としては、おそらく世界唯一だと思います。


設計は日本を代表する建築家の1人である内藤廣さん。内藤さんは伝統的な地場産業である石州瓦に着目され、その強さ、品質のよさ、ガラス質の釉薬を塗った瓦が光の角度で微妙に色合いを変える面白さに惹かれ、これを屋根だけではなく、壁にも使おうと思われたそうです。


内藤さんの狙いどおりでした。グラントワの瓦は、釉薬を調整して六種類に色分けした瓦で葺いてありますから、普段見てもグラデーションがとても美しいのですが、季節や時間帯によって、もともとの赤茶色だけでなく、銀色に光ることもあれば、赤く染まることも、青く輝くこともあって見飽きることがありません。写真をご覧ください、


これが「blue Grand Toit」の色です。


瓦の殿堂 グラントワ 外壁


グラントワ 中庭 芝


グラントワ 中庭 中央の水盤


建物の中央には45メートル四方の中庭があり、その中央には25メートル四方の水盤。周りは瓦と同じ技法で造られた敷き瓦が敷き詰められています。


水盤の水は毎日循環させていて、水は水盤の縁にある溝に落ち、地下のタンクで浄化したあと、水盤の中央から静かに湧き出してきます。


この水の流れの音を聞きながら、邦楽やジャズの演奏を聴くのは最高ですね。月夜にやればとても神秘的です。


また水盤は12センチほどの深さしかないので、水をすべて落とせば敷き瓦の大きな庭ができます。そこを会場にして行う年に何回かのイベントでは、市内外からたくさんの方が訪れます。


グラントワ 大ホール ホワイエ


美術館 展示室


美術館(石見美術館)も劇場(いわみ芸術劇場)も素晴らしい施設です。
美術館ではそれぞれ趣向を変えた四部屋の展示室で、年4回の企画展をはじめ、全国レベルの展示を行う施設ですし、コレクションの中心のひとつがファッションであるなど、ほかの美術館にはない特徴も持っています。


グラントワ とても美しい大ホール 舞台


グラントワ 音響効果抜群の大ホール ゆったりとした客席


また、オーケストラピットも備えた大ホールはとても美しく、歌いやすく、音質も良い、さらに舞台面積も大きく搬入口の出入りもしやすいので、アーティストの方だけでなく、裏方の皆さんからの評判も上々です。


(詳細は下記のURLよりご覧ください。)


ZIPANG-2 TOKIO 2020~石州瓦物語(外伝)~

「瓦の殿堂・グラントワ 【寄稿文】若槻真治」
https://tokyo2020-2.themedia.jp/posts/5442218



次回へ続く・・・


鎹八咫烏 記
石川県 いしかわ観光特使
伊勢「斎宮」明和町観光大使


協力(敬称略)

紅山子(こうざんし)


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※現在、2250件余の記事掲載、下記のサイトからご覧ください。


ZIPANG-8 TOKIO 2020 (VOL-8)
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ZIPANG-8 TOKIO 2020

日本の精神文化と国土の美しさについて再発見その1. 全世界との情報の共有化その2. 偏り、格差のないローカリティの尊重!その3. 美しきものへの学び、尊敬、関心を高める教育と推進

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