令和6年1月1日午後4時10分頃発生した、能登半島地震で被害を受けた
皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。(編集局)
福島の姥神たち・田村市
福島県田村市
色とりどりのライトに照らされるあぶくま洞内部
福島県田村市は、中通り地域の最東に位置する人口約3万2千人の市です。
田村市の名前は、平安時代に蝦夷地の討伐をした坂上田村麻呂の子孫、田村氏が代々この地域を支配してきたことに由来しています。
同市では観光スポットとして、鍾乳洞のあぶくま洞が有名です。同洞窟は昭和44(1969)年に発見され、昭和48(1968)年から一般見学ができるようになりました。全長600メートルの見学コースは、色とりどりのライトで鍾乳石が照らされ、地球の悠久の歴史を感じさせる自然美をロマンティックに演出しています。
ちなみに同市には鬼の大多鬼丸の棲む鬼穴の伝説がある穴があるのですが、この穴もあぶくま洞の一部であることが判明しています。また、近くにはこちらも一般見学が可能な入水鍾乳洞もあります。
以前、その38で田村市の墓地入口にある姥神像を紹介しましたが、今回は同市にあるそのほかの姥神像を紹介します。
・大滝根山
大滝根山登山口にある姥神像
大滝根山登山口にある頭のない姥神像
大滝根山登山口にある禊場の記念碑
同市にある大滝根山には、その中腹に霧島大権現が祀られています。その参拝登山道入口に姥神像があります。その像容が完全なものと、頭もなく、磨耗してよくわからなくなっていますが、その形から姥神像だったものと想像できる、2体が置かれています。
由来によると霧島大権現は、山形の出羽三山が遠いため、湯殿山権現を分神したものとのこと。これは、その2~5で紹介した茨城県の御岩山、栃木県の茶臼岳と男体山、福島県の中吾妻山と同じく、湯殿山を模して姥神像を配置したと言えます。
姥神像のある登山口は、もともと禊場だったらしく、参拝者は参拝前にここで行水をしていました。このため、姥神像の近くには禊場と彫られた記念碑もあります。
また、同じ場所には、現在は閉鎖され廃墟となっていますが、あぶくま高原ホテルと書かれた大きな建物も残っていて、観光目的も含め、この山が多くの人で賑わっていたことがわかります。
ここの姥神像は、湯殿山を模していますので、境界-姥神型として祀られたものと言えます。
・鞍掛山
鞍掛山頂上手前にある姥神像
鞍掛山の頭のない姥神像
鞍掛山の大岩の前に祀られた姥神像など
同市の鞍掛山に、古峰神社があり、その奥の院からさらに頂上へと向かう途中に姥神像があります。大岩の前に顔が削られているものと、頭が無い2つの姥神像が、他の石仏と一緒に並べてあり、もともとは頂上にあったとのこと。頂上への登山道の途中にありますので、境界-姥神型として祀られたものと言えます。
続く・・・
寄稿文
廣谷知行(ひろたに ともゆき)
姥神信仰研究家
※画像並びに図表等は著作権の問題から、ダウンロード等は必ず許可を必要と致します。
発行元責任者 鎹八咫烏(ZIPANG TOKIO 2020 編集局)
アーカイブ リンク記事をご覧ください。
田村市船引中ノ内の墓地手前にある姥神像
三春町の隣にある田村市船引町、小高い丘にある共同墓地入り口に奪衣婆像が祀られています。これもその35※、36※、37※で紹介した、墓地との境界に祀られた奪衣婆と考えられますが、閻魔像はありません。
(詳細は下記のURLよりご覧ください。)
ZIPANG-6 TOKIO 2020 全国の姥神像行脚(その38)福島県・境界の奪衣婆たち・・・【寄稿文】廣谷知行
https://tokyo2020-6.themedia.jp/posts/32594099
姥神とは
姥神の定義の説明の前にまず、奪衣婆の説明をさせていただきたい。
奪衣婆とは、死後にあの世へ渡るための三途の川の岸辺にいて、亡者の衣を脱がせる存在である。なぜ脱がせるのかと言うと、その衣を衣領樹(えりょうじゅ)と呼ばれる木の枝にかけるためである。そうすると生前の罪の大きい者は枝が大きく下がり、小さい者はほとんど動かない。亡者の罪はその衣に重さとなって染み込んでいることになる。衣領樹は罪を量るはかりであり、それを審査するのが奪衣婆である。
(詳細は下記のURLよりご覧ください。)
ZIPANG-2 TOKIO 2020 ~全国の姥神像行脚(その2)~「茨城県日立市『御岩神社の姥神様』とは・・・ 【寄稿文】 廣谷知行」
https://tokyo2020-2.themedia.jp/posts/5566114
ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~全国の姥神像行脚(その3)~「栃木県那須塩原市『茶臼岳の姥神像』とは・・・ 【寄稿文】 廣谷知行」
https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/5756200
ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~全国の姥神像行脚(その4)~「栃木県日光・男体山『志津宮の姥神像』とは・・・ 【寄稿文】 廣谷知行」
https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/5884823
ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~全国の姥神像行脚(その5)~「福島県 吾妻山の信仰の中心『吾妻山神社の姥神像』 とは・・・ 【寄稿文】 廣谷知行」
https://tokyo2020-3.themedia.jp/posts/5977605
天空の社「車山神社」火祭り
車山神社火祭り
天空の社「車山神社」
標高1925メートルにある天空の社「車山神社」では、神事×アートをテーマにした「車山火祭り」を車山高原観光協会協力にて開催します。
巫女舞の奉納、神職の祈祷、アーティストによる演奏、夜のゲレンデを明るく照らす松明スキー滑走などを実施する予定です。
FUJI ROCKや世界での活動経歴もあるアーティストの方々と共に自然への感謝や世界平和への願いを発信する「炎の雪中音楽祭り」が行われます。
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